ポツリポツリと頭に冷たい感覚がすれば空を見上げる。
空は灰色の雲で覆われて居て、そこから冷たい雨が顔にかかった。
今は降り始めだけど勢いを増して降られてはたまったもんじゃない。
時間は、午後七時の事。
三題話で一週間バトン
No.5 ある夜の雨
「…(…急がなきゃ)」
今朝の天気予報では雨が降るなんて言ってなかったのに。
傘を持ち歩いてない俺は空から視線を外せば急ぎ足で家へと向かう。
仕事帰りだから未だ気持ちの落ち込みはましだったけど、やっぱり外に出て途中で雨が降られると気分も少し落ち込む。
勢いを増し始める雨に髪も含も濡れ始め、家に着く頃にはずぶ濡れになっていた。
「あー…最悪。」
自分の部屋迄のマンションの階段を急ぎ足で上る。
既に濡れてるからあまり急ぐ意味は無いんだけど…。
すると扉の前に見慣れたシルエット。
赤と黒の髪に通勤先の学校の制服を着た一人の生徒が扉の前で膝を抱えて座って居る。
顔は見えないけれど俺の中で思い当たるのは一人しか居なくて俺は慌ててその生徒の元へと駆け寄った。
「空牙!何時から居たの…。ってか部屋の合鍵渡してたでしょ?」
「家に忘れた。それ所じゃなかったから…。」
「又喧嘩したの?」
「…。」
図星だったのか顔を上げた空牙は黙り込む。
空牙と親御さんは仲が上手くいってないのか空牙は良く喧嘩して俺の家へと来る事が多い。
何時も連絡なしに来るから毎回驚かされるんだけど。
「本当、何時から居たの。ってか凄い髪濡れてる…。早く中に入って。」
家の鍵を慌ててズボンのポケットから取り出せば鍵を開けて空牙の腕を掴んで部屋の中へと連れ込んだ。
* * *
「ほら、早く拭かなきゃ風邪引く。」
「じ、自分で拭ける…っ。」
箪笥(たんす)から適当にバスタオルを一枚取り出せば空牙の頭に被せて髪をわしゃわしゃと拭く。
余程髪は濡れてるのか乾いたバスタオルは直ぐに水分を吸い取った。
「馬鹿、俺ばっかせずにお前も拭けっての…!」
「俺は平気…っくしゅ!」
空牙の問いに平気、と答えながらも嚔(くしゃみ)を出す。
濡れて時間が経ちすぎたかな…少し寒い、かも…。
「嚔しといて何が平気だ。お前も拭け。これで風邪引かれたら後味悪ぃから。」
何時の間にか空牙は家の中の物を把握してたのか迷わず箪笥からバスタオルを取り出し俺の髪を拭く。
わしゃわしゃと乱暴に俺の髪を拭かれるも俺の髪も濡れてたのか後からタオルに触れた時ぐっしょりと濡れてた。
「有り難う。」
「…別に。」
素っ気なく短く空牙は答えれば顔を横に向けて俺から視線を逸らす。
横に向いた時僅かに頬が赤かったから空牙なりの照れ隠しだろう。
本当素直じゃないんだから。
すると後ろから空牙に抱き止められる。
俺と体格の変わらない空牙の腕が後ろから回って来てすっかり今は空牙の腕の中。
そして耳元に空牙の息がかかり、ぞわぞわと背筋に寒気が走った。
さっき見せた照れ隠しの表情はすっかりと消えて居て、さっきのあの表情は何処へやら。
今ではその表情の代わりに真剣な顔で俺を見詰めて来る。
そ…そんなに見詰められたら反応に困るんだ、けど…。
「…な、寒いから暖めて。」
「え、じゃあ何か暖かいのでも飲む?」
「…馬鹿野郎。」
はぁ、と盛大な溜息を空牙は吐く。
え、俺…何か変な事言っかたかな…?
「未だ何時ものヘタレなら兎も角本気で言ってるのか?…何なら今回から俺がしようか?や、した方が良いか。」
「ちょ、空牙…!?っ…!?」
顎を空牙に持ち上げられて空牙の顔が近付いて来てお互いの距離が縮む。
その瞬間ぱさり、とお互いの髪を拭いたタオル二枚が床に落ちた。
...The End
空は灰色の雲で覆われて居て、そこから冷たい雨が顔にかかった。
今は降り始めだけど勢いを増して降られてはたまったもんじゃない。
時間は、午後七時の事。
三題話で一週間バトン
No.5 ある夜の雨
「…(…急がなきゃ)」
今朝の天気予報では雨が降るなんて言ってなかったのに。
傘を持ち歩いてない俺は空から視線を外せば急ぎ足で家へと向かう。
仕事帰りだから未だ気持ちの落ち込みはましだったけど、やっぱり外に出て途中で雨が降られると気分も少し落ち込む。
勢いを増し始める雨に髪も含も濡れ始め、家に着く頃にはずぶ濡れになっていた。
「あー…最悪。」
自分の部屋迄のマンションの階段を急ぎ足で上る。
既に濡れてるからあまり急ぐ意味は無いんだけど…。
すると扉の前に見慣れたシルエット。
赤と黒の髪に通勤先の学校の制服を着た一人の生徒が扉の前で膝を抱えて座って居る。
顔は見えないけれど俺の中で思い当たるのは一人しか居なくて俺は慌ててその生徒の元へと駆け寄った。
「空牙!何時から居たの…。ってか部屋の合鍵渡してたでしょ?」
「家に忘れた。それ所じゃなかったから…。」
「又喧嘩したの?」
「…。」
図星だったのか顔を上げた空牙は黙り込む。
空牙と親御さんは仲が上手くいってないのか空牙は良く喧嘩して俺の家へと来る事が多い。
何時も連絡なしに来るから毎回驚かされるんだけど。
「本当、何時から居たの。ってか凄い髪濡れてる…。早く中に入って。」
家の鍵を慌ててズボンのポケットから取り出せば鍵を開けて空牙の腕を掴んで部屋の中へと連れ込んだ。
* * *
「ほら、早く拭かなきゃ風邪引く。」
「じ、自分で拭ける…っ。」
箪笥(たんす)から適当にバスタオルを一枚取り出せば空牙の頭に被せて髪をわしゃわしゃと拭く。
余程髪は濡れてるのか乾いたバスタオルは直ぐに水分を吸い取った。
「馬鹿、俺ばっかせずにお前も拭けっての…!」
「俺は平気…っくしゅ!」
空牙の問いに平気、と答えながらも嚔(くしゃみ)を出す。
濡れて時間が経ちすぎたかな…少し寒い、かも…。
「嚔しといて何が平気だ。お前も拭け。これで風邪引かれたら後味悪ぃから。」
何時の間にか空牙は家の中の物を把握してたのか迷わず箪笥からバスタオルを取り出し俺の髪を拭く。
わしゃわしゃと乱暴に俺の髪を拭かれるも俺の髪も濡れてたのか後からタオルに触れた時ぐっしょりと濡れてた。
「有り難う。」
「…別に。」
素っ気なく短く空牙は答えれば顔を横に向けて俺から視線を逸らす。
横に向いた時僅かに頬が赤かったから空牙なりの照れ隠しだろう。
本当素直じゃないんだから。
すると後ろから空牙に抱き止められる。
俺と体格の変わらない空牙の腕が後ろから回って来てすっかり今は空牙の腕の中。
そして耳元に空牙の息がかかり、ぞわぞわと背筋に寒気が走った。
さっき見せた照れ隠しの表情はすっかりと消えて居て、さっきのあの表情は何処へやら。
今ではその表情の代わりに真剣な顔で俺を見詰めて来る。
そ…そんなに見詰められたら反応に困るんだ、けど…。
「…な、寒いから暖めて。」
「え、じゃあ何か暖かいのでも飲む?」
「…馬鹿野郎。」
はぁ、と盛大な溜息を空牙は吐く。
え、俺…何か変な事言っかたかな…?
「未だ何時ものヘタレなら兎も角本気で言ってるのか?…何なら今回から俺がしようか?や、した方が良いか。」
「ちょ、空牙…!?っ…!?」
顎を空牙に持ち上げられて空牙の顔が近付いて来てお互いの距離が縮む。
その瞬間ぱさり、とお互いの髪を拭いたタオル二枚が床に落ちた。
...The End
あとがき
伸ばしに伸ばしまくって出来た作品がまさか立場逆転で終わってしまいました(爆)
いや、ヘタレな薫には襲われて逆転、が良いんだが肝心の逆転の描写を書かなかったから微妙な出来に。
ちゃんとこの後の展開は薫×空牙何だよ!と主張しておきます(笑)
本当はこんな展開のつもり無かったのになぁ…。
雨の中空牙が薫の事を待つはイメージ通りだったのに…。
ど う し て こ う な っ た (…)
拍手有り難う御座いました。
2012.03.21
- 髪
- 腕の中
- 合鍵