「きゃぁぁぁ!」

高いトーンで女独特の叫び声が聞こえる。
この女…春菜が叫ぶ理由はある程度予測はつく。
春菜が家で叫ぶ理由は――…、あー…又臭って来た。



三題話で一週間バトン
No.7 彼女と俺



春菜が大学で貰った花束を花瓶に移し変える作業の手を止めて台所へと向かう。
するとそこには両手で顔を覆う春菜と台所に黒い物体。
…一体今度は何を真っ黒にしたんだ…。
原型すら止めず黒焦げになって居るそれの正体を聞くのが怖いと感じたのは気のせいだろうか…。

「今度は何を黒焦げにしたんだ?」

「フェイド…。玉子焼き…失敗したの…。」

「…(これが玉子焼き…?)」

うわぁん!、と泣きながら春菜は俺に抱き付けば俺は春菜の作った玉子焼き(…らしい)物体をまじまじと見詰める。
春菜の料理の腕は出会った頃から壊滅的で最近は腕を上げる為に今回みたいに一人で料理を作って居る…が。
結局腕は上がらず毎回食材が黒焦げになっていく。

「…やっぱり俺が教えた方が良いんじゃねぇか?」

「…!嫌よ!何時も作って貰ってばかりなんて嫌よ…。」

よしよし、と泣き付く春菜を宥めながら再び黒焦げになった玉子焼きに目をやる。
…黒い。
何度見ても黒くて玉子焼き独特のあの黄色は本当に何処にいったんだ…。

「…まぁ、料理は見た目も大事だが味も大事だっての…。」

「何言って…って駄目よフェイド!食べちゃ駄目…!」

黒い玉子焼きを見詰める俺とその言葉の意味を知った春菜が首を横に振って俺を止める。
料理は見た目じゃなくて味も勝負してんだ。
大丈夫大丈夫。

「大丈夫だって。平気だっての。」

「駄目よ、絶対駄目…!あっ、フェイド!」

「だいふぉうぶだっふぇて(大丈夫だって)」

焦げた玉子焼きを手に取りそれを口に運ぶ。
そして口元をもごもごと動かしながら言えばゴクリとそれを飲み込んだ。
飲み込んだ時の春菜の表情は心配そうに俺を見ている。
俺が平気って言うんだから大丈夫だっての。
肝心の味はだが何故かパサついた食感もしたが味は玉子焼きで普通に美味かった。

「ん、美味いじゃん。春菜、美味いぞ、これ!」

「嘘!こんな真っ黒なのに…!?嬉しい…!」

俺の感想に心配そうにして居た表情も嬉しそうに春菜は笑う。
うん、普通に美味い。
だがもう一つ玉子焼きに手を伸ばそうとしたその瞬間…。

「…あれ?」

「どうしたの?」

「…あ。」

「…!?フェイド!?」

グラ、と視界が歪み目の前が真っ黒になり俺は意識を手放した。
その後俺が目を覚ましたのは翌日の事で、後々俺が倒れた原因は春菜の玉子焼きだったのは言うまでもない…。

(全く…無茶ばっかりして…。アンタは馬鹿なのかい?)

(うっせぇ)

...The End

あとがき


最後の会話はアリシアとフェイド。

フェイドはアリシアにこんな風に呆れて言われるんですね(笑)

そして今後フェイドは春菜の殺人的手料理を何度か口にしてその度倒れるか何か有るんだよ(爆)


この話を見て頂いた通り春菜は料理下手です。

まさか下手設定付くとは思わんかったがな(笑)

その反面フェイドは料理が上手くて普段は春菜ではなくフェイドが料理作ってます。

因みに子供達はエースはがっつり母の血を引いて料理下手で、フォルテは父の血を引いて料理上手い設定…。


拍手有り難う御座いました。


2012.04.16


  • 叫び
  • 花束
  • 黒焦げ
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