Kiss 20Title
No.7 二回目のキス

「薫、」

不意に名前を呼ばれて振り向こうとすると同時に背中に重みと温もりが伝わった。

「空牙。駄目だろ、布団から出たら…。」

「…お前が遅いからだ…。」

子供が不貞腐れた様な声色で空牙は言えば、空牙の手が後ろから伸びて来て俺の前へと回る。
風邪を引いて熱を出しているせいか回された手が熱い。

「仕方がないだろ、洗い物の量が多いんだから。具合はどう?薬は?ちゃんと飲んだ?」

「薬何か要らねぇ…。」

「我が侭言わないの。ご両親には黙っててあげてるんだから薬は飲みなさい。」

「…。」

俺の言葉には返事を返さず、代わりに回された腕に力が込められた。
そんなに空牙って薬嫌がったっけ…?
今迄普通に嫌がらずに飲んでたんだけど…。
一体どうしたんだろ…。

「どうしたの、何か有った?」

「…別に。」

「本当?」

洗い物を終えて水道の蛇口を締めれば乾いたタオルで手を拭き空牙の方を向く。
但し身体は固定されてるから首だけ、何だけど。

「本当に?空牙、何時もと変だけど…。」

「っ…るっさい、平気…っ!」

「空牙!」

俺の言葉を凪ぎ払う様に声を上げ様としたその時、空牙の体がガクリとその場に崩れ落ちる。
慌てて俺は空牙の体を支えるけどバランスを崩してその場に倒れたけど空牙の頭は打ってない様で一安心した。
だから熱が有るから布団から出るなって言ったのに…。
空牙の体を所謂お姫様抱っこで持ち上げれば俺はベットへと運ぶ。
空牙が起きてる時にしたら暴れられるだろうから今の内に。

「…そう言えば空牙…。薬、飲んで無かったっけ。」

ベットに寝かせ終わった後、枕元に有る薬とペットボトルに入ったままの水に気付く。
水は空牙に渡した時と量が変わってなくて本当に飲んでないのか、と改めて実感する。
でも飲んでくれないと治る風邪も治らない。

「…。仕方がないか…。」

ペットボトルを手にとれば中の水がタプン、と音を発てて揺れる。
水の隣に置いて有った粉末の薬にも手を伸ばせば薬の封を上げて自分の口へと流し込む。
空牙が自分で飲まないならば俺が飲ますしかない。
じわじわと口の中で薬の苦味が広がってくれば、俺はペットボトルのキャップを上げて水を口に含んだ。
そしてそのまま空牙へと口移しで薬を飲ませる。
その行為も案外すんなりと上手くいって暴れられる事もなかった。
そして知らぬ内に空牙の閉じた目がゆっくりと開く。

「…苦い、」

「あ、起きた?具合は?」

「…平気。ってか俺何時の間にベットに移動した?ってかマジで苦いの、何…?」

「空牙がさっき急に倒れたからその時に運んだ。薬は今口移しで。だから俺もその味。」

「…苦い。」

口の中の味が不服なのか不機嫌に眉間に皺を寄せながら空牙は言う。
薬ってのは元々こう言うのだから仕方がないと思うんだけども。

「薫。口直しさせろ。」

「え、どうやっ…て、っ!?」

むすっ、と膨れたままの口調で言えば突然俺の服を掴んで空牙の方に寄せられキスをされる。
口直し、ってこの事か…。
でも二度目の口直しのキスは何となく甘い気がした。

二回目のキス
(口直しにキスをひとつ)

...The End

あとがき


風邪ひき空牙と看病する薫。


2011.09.08

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