高い所にあるキャンドル。
高さ的には飛べない事はない高さではある。
だが私のケープで飛べるかどうかは別の話だ。

「んー…ギリギリ行けるか…?」

「ぷえー!」

ポツリと呟けば、ステラが私の足元で腕を上げて鳴く。
お前は良いなぁ、気楽そうで。
ステラと手を繋げば、その気楽さにはぁ…と溜息が零れ落ちる。
意を決して垂直に羽ばたく。
心の中でいーち…、にー…と数え、限界迄羽ばたき終えればグッと手を伸ばす。
でも私のケープではやっぱり飛べなくて、諦めそうになったその瞬間ふわりと体が持ち上げられる。

「…え?」

「だから翼だけでも集めておきなよ、って言ってたのに。」

視界には青いケープ。
顔を上げれば見慣れた顔がそこにあった。
仮面で素顔はわからないが、きっと私の事を笑っているに違いない。

「うるさい、何をしようが私の勝手だろ。」

「強がっちゃって。」

クスクスと声を漏らしながらこいつ…シリウスがキャンドルの元へを私達を運んでくれる。
絶対この状況を楽しんでるだろ、お前…。

「って言うか、何だこの体勢は。」

「うん?何だろうね?」

私の腕に手を添え、膝下にも手が回りそれだけで私は支えられていた。
何時の間にか私の腕の中にはステラがいて、ステラは先程迄笑っていたのに随分と不機嫌だ。
シリウスと同じで仮面をしていて表情は分からないが、明らか機嫌が悪いのは手に取って分かる。

「どうしたステラ?」

「ぷぇえ…。」

「きっとボクが君と話してるのに怒ってるんでしょ。」

可愛いね、と言いながらシリウスが私を下ろす。
その流れで私もステラを下せば、ステラはぷいとそっぽを向く。
そして私の後ろに隠れ、腰を掴む。
怒っているのか今日は一段と私の腰を掴む力が強い。
あの、ステラ…マジで、痛いんですが。

「痛い。」

「君の為にもボクはいなくなった方が良いみたいだね。」

「はぁ…?何で。一緒にいれば良いだろ。」

「気付いてないの?まぁ、その方が楽しいから良いけど。…うん、でもそろそろ行かなきゃ。」

クスクスと笑いながらシリウスが言う。
その場から離れそうとすれば、私は思わず静止の声を出す。

「おい、どこ行くんだ?」

「書庫だよ。一緒に来る?」

「いや、良い…。…その、助けてくれて有り難う。」

「良いよ。…本当ボクが来なかったらどうなってたのやら。届かない場所があるならボクに言って?必ず来るから。」

約束だからね?、と言えばシリウスは私が頷く前に飛び去ってしまった。
何であんなに必死何だか。

「…気にしても仕方ないか。ステラ、行くぞ。」

「ぷぇえ…。」

未だ機嫌は直らないのか、低い声でステラが鳴く。
そしてずい、と頭を私の方へと突き出す。
いきなり撫でろとはどう言った心境何だ。
まぁ、本人がこれで気が治まるならそれで良いか。
ぽんぽん、と頭を撫でてやれば満足したのかステラの機嫌は良くなり足取り軽くカケラを集めだす。

「単純すぎない?」

「ぷえ?」

「何でもない。」

ふふ、と思わず笑えば私もキャンドルの光を集め始めた。

...The End

あとがき


この後あとがきを書き換えました(2022.10.10)

初お空の短編。

ちょっとだけ今の設定に合わせてセリフとか色々訂正。


当時はゲームの世界をどう表現するか悩みながら書いたのが凄く楽しかった思い出。


2020.01.05


修正・加筆:2020.10.10

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