「俺が先に行くから。」
「嫌だ!」
風が吹き荒れる暴風域を抜け、たどり着いた原罪。
先に行くにつれ分かっていた。
それがどう言う意味をなす事かを。
でも嫌だ、嫌だ。
死にたくない。
アルタイル、行かないで。
涙が溢れ視界が揺れる。
ふるふると首を横に振り、彼にしがみつく。
嗚呼、私はこんなにも弱かったのか。
離れたくない。
「…じゃあ、手を離さないで。大丈夫。大丈夫だから。」
よしよしとアルタイルの大きな手が私の頭を撫でる。
ぼろぼろと私の目から涙が落ち止まらなかった。
「大丈夫。ごめんね。一人は嫌だよね。俺も一緒に行くから。二人なら怖くないよ。ね?」
まるで子供をあやすような優しい声。
その声は私の心にすっと染み込んでいき自然と涙は止まっていた。
死ぬのが怖いのは変わりない。
でも、アルタイルと一緒なら不思議と大丈夫な気がする。
「すまない、取り乱した。」
「ふふ、貴重だったよ。君の涙。」
「う。」
「行こうか。」
手を改めて差し出され、私はその手を取った。
優しくて大きな手が、私の手を握り返す。
アルタイルが私を見て、ニコリと笑う。
この先、何があっても…きっと彼となら大丈夫。
* * *
羽を全て失った後、目を覚ませば私は真っ暗な所にいた。
辺りを見渡しても何もない。
私一人だけ。
私は本当に死んでしまったのだろうか。
よろよろと立ち上がり歩けば一人、ぽつんと光る何かが視界に入る。
「…誰。」
ゆっくり、ゆっくりと近付く。
それは今の私と同じ姿をしている何かだった。
眩しい。
光輝くそれは私に手を差し伸べる。
その手を取るか少し迷ったが私はその手を取った。
「…!」
その瞬間光が私を包み込む。
そして光柱が生まれ、光が上へと上っている。
これを上ればここから出れるのだろうか。
私の肩には失った筈のケープが掛かっている。
今なら上れる。
そう確信した私は光柱へと飛び立った。
* * *
「あっ、いた!おーい!」
原罪から出た私が次に見たのはさっき迄一緒にいたアルタイルだった。
私に手を振っている。
慌てて軌道を変えてアルタイルの元へと向かう。
無意識に私はアルタイルに飛び付いていた。
「おっと。」
「会いたかった…!」
「ふふ、俺も。中々来ないから心配したよ。」
私の頭を撫でながら言えば私を見てにこりと笑い、私に手を差し出す。
私はその差し出された手に首を傾げる。
「…?」
「行こう。大丈夫、今度は俺も一緒だから。」
無言で頷けば私はその手を再び取った。
大丈夫、もう怖くない。
アルタイルと一緒ならもう何処へ行っても怖くないよ。
* * *
アルタイルに手を引かれ、辿り着いた先はとても綺麗な所だった。
空には沢山の星が出ている。
足元にあるのも…星か?
「ここね、天空って言うんだよ。さっき君が助けた星の子もここに来るんだよ。ほら。」
アルタイルがそう言って指差す。
その先には先程私が助けたと思われる星の子達がいた。
姿はハッキリとはわからなかったが、星の子達は静かに私に手を振りお辞儀をして空へと飛んで行く。
これで、良かったのだろうか。
「大丈夫。あの子達はちゃんと救えたよ。」
私の思考を読み取ったのかアルタイルが何時ものように笑う。
そして私の目の前で両手を広げる。
「お疲れ様。怖かったよね。もう大丈夫だよ。」
もう大丈夫、と聞いて私の中で何かがプツリと切れた。
ぼろぼろと再び涙が零れ落ち、私はその胸へと飛び込んだ。
* * *
ひとしきりに泣いた後、私はアルタイルに手を引かれ大きな扉を潜り抜けた。
潜る直前迄不安がる私に何度も大丈夫だよ、と言って私達は光に包み込まれる。
次に目を覚ましたのは見慣れたホームで、安心感が私を満たす。
よろよろと立ち上がれば、後ろから名前を呼ばれ振り向く。
「お帰り。また一緒にいれるよ。」
振り向けばそこには先程迄一緒にいたアルタイルがいた。
私は迷わずアルタイルの元へと飛び込んだ。
...The End
「嫌だ!」
風が吹き荒れる暴風域を抜け、たどり着いた原罪。
先に行くにつれ分かっていた。
それがどう言う意味をなす事かを。
でも嫌だ、嫌だ。
死にたくない。
アルタイル、行かないで。
涙が溢れ視界が揺れる。
ふるふると首を横に振り、彼にしがみつく。
嗚呼、私はこんなにも弱かったのか。
離れたくない。
「…じゃあ、手を離さないで。大丈夫。大丈夫だから。」
よしよしとアルタイルの大きな手が私の頭を撫でる。
ぼろぼろと私の目から涙が落ち止まらなかった。
「大丈夫。ごめんね。一人は嫌だよね。俺も一緒に行くから。二人なら怖くないよ。ね?」
まるで子供をあやすような優しい声。
その声は私の心にすっと染み込んでいき自然と涙は止まっていた。
死ぬのが怖いのは変わりない。
でも、アルタイルと一緒なら不思議と大丈夫な気がする。
「すまない、取り乱した。」
「ふふ、貴重だったよ。君の涙。」
「う。」
「行こうか。」
手を改めて差し出され、私はその手を取った。
優しくて大きな手が、私の手を握り返す。
アルタイルが私を見て、ニコリと笑う。
この先、何があっても…きっと彼となら大丈夫。
* * *
羽を全て失った後、目を覚ませば私は真っ暗な所にいた。
辺りを見渡しても何もない。
私一人だけ。
私は本当に死んでしまったのだろうか。
よろよろと立ち上がり歩けば一人、ぽつんと光る何かが視界に入る。
「…誰。」
ゆっくり、ゆっくりと近付く。
それは今の私と同じ姿をしている何かだった。
眩しい。
光輝くそれは私に手を差し伸べる。
その手を取るか少し迷ったが私はその手を取った。
「…!」
その瞬間光が私を包み込む。
そして光柱が生まれ、光が上へと上っている。
これを上ればここから出れるのだろうか。
私の肩には失った筈のケープが掛かっている。
今なら上れる。
そう確信した私は光柱へと飛び立った。
* * *
「あっ、いた!おーい!」
原罪から出た私が次に見たのはさっき迄一緒にいたアルタイルだった。
私に手を振っている。
慌てて軌道を変えてアルタイルの元へと向かう。
無意識に私はアルタイルに飛び付いていた。
「おっと。」
「会いたかった…!」
「ふふ、俺も。中々来ないから心配したよ。」
私の頭を撫でながら言えば私を見てにこりと笑い、私に手を差し出す。
私はその差し出された手に首を傾げる。
「…?」
「行こう。大丈夫、今度は俺も一緒だから。」
無言で頷けば私はその手を再び取った。
大丈夫、もう怖くない。
アルタイルと一緒ならもう何処へ行っても怖くないよ。
* * *
アルタイルに手を引かれ、辿り着いた先はとても綺麗な所だった。
空には沢山の星が出ている。
足元にあるのも…星か?
「ここね、天空って言うんだよ。さっき君が助けた星の子もここに来るんだよ。ほら。」
アルタイルがそう言って指差す。
その先には先程私が助けたと思われる星の子達がいた。
姿はハッキリとはわからなかったが、星の子達は静かに私に手を振りお辞儀をして空へと飛んで行く。
これで、良かったのだろうか。
「大丈夫。あの子達はちゃんと救えたよ。」
私の思考を読み取ったのかアルタイルが何時ものように笑う。
そして私の目の前で両手を広げる。
「お疲れ様。怖かったよね。もう大丈夫だよ。」
もう大丈夫、と聞いて私の中で何かがプツリと切れた。
ぼろぼろと再び涙が零れ落ち、私はその胸へと飛び込んだ。
* * *
ひとしきりに泣いた後、私はアルタイルに手を引かれ大きな扉を潜り抜けた。
潜る直前迄不安がる私に何度も大丈夫だよ、と言って私達は光に包み込まれる。
次に目を覚ましたのは見慣れたホームで、安心感が私を満たす。
よろよろと立ち上がれば、後ろから名前を呼ばれ振り向く。
「お帰り。また一緒にいれるよ。」
振り向けばそこには先程迄一緒にいたアルタイルがいた。
私は迷わずアルタイルの元へと飛び込んだ。
...The End
あとがき
この後あとがきを書き換えました(2022.10.10)
アルタイル×スピカでもしもの原罪の話。
恐らくスピカの初めての原罪を支えるのはシリウスだろうから。
でも一番拗らせてるアルスピちゃんでも書いてみたかったんです…(笑)
普段スピカは泣いたりすることないし、あんまりこういう感情を出す事はないから書いてて楽しかった。
まぁ、周りが周りだけにそう言う感情を出す事が苦手なだけになってるのかも知れない。
2020.05.11
修正・加筆:2020.10.10