まえがき
現代パロディネタ。
苦手・駄目な方はリターンお願いします。
大丈夫、OKな方はこのままスクロール。
今日は幼馴染の祢緒(ねお)と一緒に大学の友人、詩苑(しおん)の三人で詩苑の家で勉強会をする事になっている。
先に待ち合わせ場所の公園に着いた俺は祢緒の事を待っていた。
待ち合わせ時間迄後二十分。
少し早く来過ぎちゃったかな…。
俺はスマートフォンを鞄から取り出し操作して時間を潰す。
そうして十分程時間が経った時、聞き慣れた声が俺の名前を呼んだ。
「アルー!」
遠くから幼馴染の祢緒が走りながらやってくる。
そんな走らなくても未だ待ち合わせ時間には余裕なのにな。
「お早う、祢緒。」
「おう、お早う。もしかして待たせた?」
ニカっと祢緒が笑いながら言えば、先にいた俺にはっとした表情で聞いてきた。
俺はスマートフォンを鞄に直しながらそんな事ないよ、と返事を返す。
そうすれば祢緒は良かったぁ…と声を安堵した声色で言う。
「何かあったの?」
「いや、今日寝坊してさ…。間に合うか不安だったんだよ。」
「あー…なるほど。でも未だ待ち合わせ時間迄十分くらいあるよ。」
「間に合わせる為に本気で走った。」
いやー、焦ったなー、と笑いながら祢緒が言う。
でも汗も流さず息一つ乱してない様子に本当に走って来たのかと疑問になる。
本当に走って来たの…?
「取り敢えず詩苑の家に行こうか。」
「あ、俺コンビニ行きたい。」
「良いよ。何買うの?」
「菓子!皆で菓子パしようぜ!」
俺達詩苑の家で勉強する筈何だけどな…?
本来の目的忘れてないよね?
「勉強しに行くんだよ、俺達。」
「わぁってるって!」
ニコニコと笑いながら詩苑が言えば、行こーぜ!と言って祢緒はコンビニの方へと足を向ける。
本当にわかってるのかな…。
俺は肩を竦めれば祢緒と一緒にコンビニへと向かった。
* * *
コンビニで買い物中。
祢緒が持つカゴの中には既に沢山のお菓子が入っていて、手に取っては一つ、また一つとカゴの中へと入れられていく。
そんなに買って大丈夫なのかな…。
三人で食べきれる量にしなよ…?
「そんなに買うの?」
「沢山あった方が楽しいだろ?お、これ懐かしいな!」
祢緒が棚から取ったのは、粒状の色とりどりのチョコレートだった。
筒状のケースには動物に模したキャラクター達がデザインされている。
小さい頃良く食べてたな…。
確かに懐かしい。
俺も思わず手に取ればパッケージをまじまじと見詰める。
「小さい頃良く食べてたね。色んな色あるけど、味は全部同じなんだよね…。」
「そうそう。でもチョコって美味いからさ、飽きねぇんだよなー!」
これも買うか、と言って祢緒が三つ手に取りカゴへ入れた。
それも買うのか…。
俺は持っていたチョコレートを棚へと戻す。
そしてふと壁に掛けられた時計に目をやる。
時間は詩苑と約束していた五分前で、俺は慌てて祢緒に声を掛けた。
や、ヤバい…!
「祢緒、時間ヤバい!」
「ん?うぉわ、ヤベぇ!会計してくる!」
俺の声に祢緒も時計を見る。
そして今の時間に驚いた声を上げればバタバタとしながらレジへと向かう。
しまった、ちゃんと時間見とけば良かった。
俺はスマートフォンを取り出せば、連絡先アプリから詩苑のアドレスを呼び出す。
メールの本文に遅れる事の内容を打ち込めばそのまま送信する。
「ごめん、待った?」
「大丈夫だよ。」
俺が詩苑にメールを打っている間に会計を済ませた祢緒が帰って来た。
俺はスマートフォンを鞄の中へを戻せば、祢緒に手を差し出す。
祢緒の両手にはレジ袋が二つ握られている。
「一つ持つよ。」
「悪い、有り難う。あ、兄さんに連絡してねぇ。」
「祢緒が会計してる内に連絡したよ。」
祢緒が渡してきた片方のレジ袋を受け取りながら俺はさっき連絡した事を伝えた。
そんな俺に祢緒が流石だな!と言って笑う。
流石に五分以内で間に合うとは思わないからなぁ…。
「取り敢えず急ごう。」
「おう、そうだな。」
祢緒が頷けば俺達はコンビニを後にした。
* * *
祢緒と一緒に詩苑の家の前まで来れば、呼び出しのチャイムのボタンを押す。
ピンポーン、と聞き慣れた呼び出し音の後、はーい、と部屋の奥から足音と共に返事が聞こえて来る。
「いらっしゃい。…何だか凄い荷物だね?」
ドアが開くとと共に中から詩苑が俺達を出迎えれば、俺と祢緒が持つレジ袋に視線を落とした。
「皆で食おうと思って菓子買ってきた!」
「そんなに沢山?」
「ははは…。」
ニカっと祢緒が笑って言えば、詩苑が驚いた表情で言う。
俺は思わず苦笑いをする。
「ま…まぁ、取り敢えず上がって。ここで立ち話も何だから。」
詩苑に言われて俺達は玄関で靴を脱ぐ。
そしてお邪魔します、と言えば詩苑の部屋の中へと上がった。
「二人共お茶で良いかな?」
「おう、大丈夫だぜ。」
「うん、良いよ。」
台所で詩苑がガラスのコップ片手に俺達に声を掛ける。
俺達は俺達で持ってきた荷物を置けば勉強道具を鞄から取り出す。
すると台所から詩苑がお茶の入ったガラスのコップを二つ持って俺達の元へと戻ってきた。
そしてテーブルの上に置く。
「はい、どうぞ。」
「お、有り難う。」
「有り難う。」
「良いよ。」
俺達はお礼を言えば、詩苑がニコリと笑う。
そして台所へと戻って行った。
自分の分のお茶を入れに行ったのかな。
「そう言えばお菓子って何買ったの?」
詩苑がお茶の入ったガラスのコップ片手に台所から戻って来る。
そしてテーブルにコップを置けばその場に座った。
そう言えば俺も何買ったのかちゃんと見てなかったな。
何買ったんだろう。
「定番のポテチとー、煎餅とー…。」
あれとー、これとー…と言いながらレジ袋から沢山のお菓子を取り出していく祢緒。
そして最後にさっき祢緒と話したチョコレートが三つ出て来る。
テーブルの上はあっと言う間にお菓子だらけになった。
やっぱり思った以上にあるな…。
「こんなに沢山…?」
「ははは…。」
「余ったら持って帰ってくれよ。」
驚く詩苑に対して、俺は苦笑する。
祢緒は平然とした顔で言う。
いや、祢緒…買い過ぎたって気付いてるでしょ…。
気付いてるなら少し減らそうな?
「これ懐かしいね。」
詩苑がテーブル全体に広げられたお菓子を覗き込み、チョコレートを一つ手に取る。
その言葉に反応した祢緒は嬉しそうにだろ、だろー!と言う。
「これ人数分あるんだぜ。ほら、アルの分も。」
ほい、と言いながら祢緒が一つチョコレートを手に取り俺に渡す。
俺は有り難う、と礼を言えば改めてパッケージを見た。
良く見れば蓋の部分にシール入りと書いてある。
へぇ、シールとか入ってたんだこのチョコレート…。
「シール入りだって。」
どうやら詩苑も同じ事を思っていたらしい。
詩苑の言葉に祢緒が反応する。
「へぇ、シールか!なぁ、何入ってるか見てみようぜ!」
「開けてみようか。」
「おー!」
祢緒が上機嫌に言いながらパッケージを巻くビニールを開けていく。
本当こう言う所は春君に似てるよなぁ…。
そんな事を考えながら俺も祢緒に渡されたチョコレートのビニールを解き、蓋を開ける。
確かに中には小さなシールが一枚入っていて、蓋からシールの端が見えていた。
蓋には世界の国が描かれたデザインのシールらしく、種類は四十九種類らしい。
シールの端を摘み、表を向けてデザインを確認する。
俺のはフィジーのシールで、英語で上の方に書いてあった。
「俺はフィジーだね。」
シールに書いてある名前を言えば、祢緒と詩苑がえ?と同時に声を揃えて言う。
その反応は何…。
そんな息ぴったりに言われると吃驚するんだけど…。
まさか…。
「一応聞くけど…二人共、柄は何だったの?」
「オレ、フィジー…。」
「ボクもフィジーだね…。」
まさか二人も俺と同じフィジーだったらしく、俺達はお互いの顔を見合わせる。
そしてどっと三人で笑い始める。
「うっそだろ!三人共フィジーかよ!」
「え、パッケージに入ってるシール名って書いてたっけ?」
「いや、書いてないよ…。」
俺がパッケージをくるくると回転させながら言えば、詩苑がふるふると首を横に振った。
嘘、偶然で三つ買って、三つ共同じシールだったって事…?
そんな偶然早々ないよ…。
「ロイヤルストレートフィジーかよ!」
「祢緒、ポーカーじゃないんだから。」
「だってこんな事滅多にないぜ!?」
「後ポーカーにするなら後二枚要るよ。」
「あー…そうか。」
俺が指摘をすれば、納得したかのようにしょんぼりと肩を落とす。
声のトーンもさっきより落ちていて、露骨に落ち込んでいるようだった。
そんな落ち込まなくても…。
「まぁ…でも一回で三枚揃っただけでも十分凄いとボクは思うよ?」
「確かに…こんなの早々ないね。」
「意外と今買ったら後二枚出たりして。」
冗談半分で俺は言えばすっと祢緒がその場から立ち上がる。
あれ、どうしたんだろ。
「オレ、買ってこようかな…。」
「いや、祢緒…既に沢山あるこのお菓子の山を見ろ…。もう要らないから…。後勉強しような。」
「ちぇー…。」
座るように俺が促せば祢緒が唇を尖らせながら不貞腐れながらその場に座った。
ただでさえこの量のお菓子をどうするか悩んでるのにこれ以上増やさなくて良いから…。
それとそろそろ勉強しような…。
俺達は勉強する為に集まったんだから…。
* * *
それから俺達は夕方迄詩苑の家で勉強した後、お開きとなった。
そして家でのんびりと勉強の続きをしているとふと今日のフィジーの事を思い出す。
そう言えばロイヤルストレートフィジーとか言ってたけど、実際のロイヤルストレートフラッシュって全部カードバラバラじゃなかったっけ。
スマートフォンを取り出して検索サイトを開く。
そして検索欄にキーワードを入力し、ポーカーについて調べる。
そうすれば丁度俺が探していた答えが書いてるページが見付かり開けば、ロイヤルストレートフラッシュはやはりカードがバラバラで成立するものだった。
「ふふ、祢緒ったら間違ってるよ。…あれ、じゃあ五枚のカードって…?」
ふと疑問に思いページをスワイプして更に調べていく。
すると同じカード五枚はファイブカードと出てきて、俺は思わず吹き出す。
「そのままの意味じゃん…。」
なんだかそれが面白くて、俺は暫く一人で笑い続けた。
後日。
大学で祢緒が例のチョコレートを大量に購入していて、理由を聞けばフィジーをオレが求めている…と言いながらビニールを外していたのは別の話。
...The End
先に待ち合わせ場所の公園に着いた俺は祢緒の事を待っていた。
待ち合わせ時間迄後二十分。
少し早く来過ぎちゃったかな…。
俺はスマートフォンを鞄から取り出し操作して時間を潰す。
そうして十分程時間が経った時、聞き慣れた声が俺の名前を呼んだ。
「アルー!」
遠くから幼馴染の祢緒が走りながらやってくる。
そんな走らなくても未だ待ち合わせ時間には余裕なのにな。
「お早う、祢緒。」
「おう、お早う。もしかして待たせた?」
ニカっと祢緒が笑いながら言えば、先にいた俺にはっとした表情で聞いてきた。
俺はスマートフォンを鞄に直しながらそんな事ないよ、と返事を返す。
そうすれば祢緒は良かったぁ…と声を安堵した声色で言う。
「何かあったの?」
「いや、今日寝坊してさ…。間に合うか不安だったんだよ。」
「あー…なるほど。でも未だ待ち合わせ時間迄十分くらいあるよ。」
「間に合わせる為に本気で走った。」
いやー、焦ったなー、と笑いながら祢緒が言う。
でも汗も流さず息一つ乱してない様子に本当に走って来たのかと疑問になる。
本当に走って来たの…?
「取り敢えず詩苑の家に行こうか。」
「あ、俺コンビニ行きたい。」
「良いよ。何買うの?」
「菓子!皆で菓子パしようぜ!」
俺達詩苑の家で勉強する筈何だけどな…?
本来の目的忘れてないよね?
「勉強しに行くんだよ、俺達。」
「わぁってるって!」
ニコニコと笑いながら詩苑が言えば、行こーぜ!と言って祢緒はコンビニの方へと足を向ける。
本当にわかってるのかな…。
俺は肩を竦めれば祢緒と一緒にコンビニへと向かった。
* * *
コンビニで買い物中。
祢緒が持つカゴの中には既に沢山のお菓子が入っていて、手に取っては一つ、また一つとカゴの中へと入れられていく。
そんなに買って大丈夫なのかな…。
三人で食べきれる量にしなよ…?
「そんなに買うの?」
「沢山あった方が楽しいだろ?お、これ懐かしいな!」
祢緒が棚から取ったのは、粒状の色とりどりのチョコレートだった。
筒状のケースには動物に模したキャラクター達がデザインされている。
小さい頃良く食べてたな…。
確かに懐かしい。
俺も思わず手に取ればパッケージをまじまじと見詰める。
「小さい頃良く食べてたね。色んな色あるけど、味は全部同じなんだよね…。」
「そうそう。でもチョコって美味いからさ、飽きねぇんだよなー!」
これも買うか、と言って祢緒が三つ手に取りカゴへ入れた。
それも買うのか…。
俺は持っていたチョコレートを棚へと戻す。
そしてふと壁に掛けられた時計に目をやる。
時間は詩苑と約束していた五分前で、俺は慌てて祢緒に声を掛けた。
や、ヤバい…!
「祢緒、時間ヤバい!」
「ん?うぉわ、ヤベぇ!会計してくる!」
俺の声に祢緒も時計を見る。
そして今の時間に驚いた声を上げればバタバタとしながらレジへと向かう。
しまった、ちゃんと時間見とけば良かった。
俺はスマートフォンを取り出せば、連絡先アプリから詩苑のアドレスを呼び出す。
メールの本文に遅れる事の内容を打ち込めばそのまま送信する。
「ごめん、待った?」
「大丈夫だよ。」
俺が詩苑にメールを打っている間に会計を済ませた祢緒が帰って来た。
俺はスマートフォンを鞄の中へを戻せば、祢緒に手を差し出す。
祢緒の両手にはレジ袋が二つ握られている。
「一つ持つよ。」
「悪い、有り難う。あ、兄さんに連絡してねぇ。」
「祢緒が会計してる内に連絡したよ。」
祢緒が渡してきた片方のレジ袋を受け取りながら俺はさっき連絡した事を伝えた。
そんな俺に祢緒が流石だな!と言って笑う。
流石に五分以内で間に合うとは思わないからなぁ…。
「取り敢えず急ごう。」
「おう、そうだな。」
祢緒が頷けば俺達はコンビニを後にした。
* * *
祢緒と一緒に詩苑の家の前まで来れば、呼び出しのチャイムのボタンを押す。
ピンポーン、と聞き慣れた呼び出し音の後、はーい、と部屋の奥から足音と共に返事が聞こえて来る。
「いらっしゃい。…何だか凄い荷物だね?」
ドアが開くとと共に中から詩苑が俺達を出迎えれば、俺と祢緒が持つレジ袋に視線を落とした。
「皆で食おうと思って菓子買ってきた!」
「そんなに沢山?」
「ははは…。」
ニカっと祢緒が笑って言えば、詩苑が驚いた表情で言う。
俺は思わず苦笑いをする。
「ま…まぁ、取り敢えず上がって。ここで立ち話も何だから。」
詩苑に言われて俺達は玄関で靴を脱ぐ。
そしてお邪魔します、と言えば詩苑の部屋の中へと上がった。
「二人共お茶で良いかな?」
「おう、大丈夫だぜ。」
「うん、良いよ。」
台所で詩苑がガラスのコップ片手に俺達に声を掛ける。
俺達は俺達で持ってきた荷物を置けば勉強道具を鞄から取り出す。
すると台所から詩苑がお茶の入ったガラスのコップを二つ持って俺達の元へと戻ってきた。
そしてテーブルの上に置く。
「はい、どうぞ。」
「お、有り難う。」
「有り難う。」
「良いよ。」
俺達はお礼を言えば、詩苑がニコリと笑う。
そして台所へと戻って行った。
自分の分のお茶を入れに行ったのかな。
「そう言えばお菓子って何買ったの?」
詩苑がお茶の入ったガラスのコップ片手に台所から戻って来る。
そしてテーブルにコップを置けばその場に座った。
そう言えば俺も何買ったのかちゃんと見てなかったな。
何買ったんだろう。
「定番のポテチとー、煎餅とー…。」
あれとー、これとー…と言いながらレジ袋から沢山のお菓子を取り出していく祢緒。
そして最後にさっき祢緒と話したチョコレートが三つ出て来る。
テーブルの上はあっと言う間にお菓子だらけになった。
やっぱり思った以上にあるな…。
「こんなに沢山…?」
「ははは…。」
「余ったら持って帰ってくれよ。」
驚く詩苑に対して、俺は苦笑する。
祢緒は平然とした顔で言う。
いや、祢緒…買い過ぎたって気付いてるでしょ…。
気付いてるなら少し減らそうな?
「これ懐かしいね。」
詩苑がテーブル全体に広げられたお菓子を覗き込み、チョコレートを一つ手に取る。
その言葉に反応した祢緒は嬉しそうにだろ、だろー!と言う。
「これ人数分あるんだぜ。ほら、アルの分も。」
ほい、と言いながら祢緒が一つチョコレートを手に取り俺に渡す。
俺は有り難う、と礼を言えば改めてパッケージを見た。
良く見れば蓋の部分にシール入りと書いてある。
へぇ、シールとか入ってたんだこのチョコレート…。
「シール入りだって。」
どうやら詩苑も同じ事を思っていたらしい。
詩苑の言葉に祢緒が反応する。
「へぇ、シールか!なぁ、何入ってるか見てみようぜ!」
「開けてみようか。」
「おー!」
祢緒が上機嫌に言いながらパッケージを巻くビニールを開けていく。
本当こう言う所は春君に似てるよなぁ…。
そんな事を考えながら俺も祢緒に渡されたチョコレートのビニールを解き、蓋を開ける。
確かに中には小さなシールが一枚入っていて、蓋からシールの端が見えていた。
蓋には世界の国が描かれたデザインのシールらしく、種類は四十九種類らしい。
シールの端を摘み、表を向けてデザインを確認する。
俺のはフィジーのシールで、英語で上の方に書いてあった。
「俺はフィジーだね。」
シールに書いてある名前を言えば、祢緒と詩苑がえ?と同時に声を揃えて言う。
その反応は何…。
そんな息ぴったりに言われると吃驚するんだけど…。
まさか…。
「一応聞くけど…二人共、柄は何だったの?」
「オレ、フィジー…。」
「ボクもフィジーだね…。」
まさか二人も俺と同じフィジーだったらしく、俺達はお互いの顔を見合わせる。
そしてどっと三人で笑い始める。
「うっそだろ!三人共フィジーかよ!」
「え、パッケージに入ってるシール名って書いてたっけ?」
「いや、書いてないよ…。」
俺がパッケージをくるくると回転させながら言えば、詩苑がふるふると首を横に振った。
嘘、偶然で三つ買って、三つ共同じシールだったって事…?
そんな偶然早々ないよ…。
「ロイヤルストレートフィジーかよ!」
「祢緒、ポーカーじゃないんだから。」
「だってこんな事滅多にないぜ!?」
「後ポーカーにするなら後二枚要るよ。」
「あー…そうか。」
俺が指摘をすれば、納得したかのようにしょんぼりと肩を落とす。
声のトーンもさっきより落ちていて、露骨に落ち込んでいるようだった。
そんな落ち込まなくても…。
「まぁ…でも一回で三枚揃っただけでも十分凄いとボクは思うよ?」
「確かに…こんなの早々ないね。」
「意外と今買ったら後二枚出たりして。」
冗談半分で俺は言えばすっと祢緒がその場から立ち上がる。
あれ、どうしたんだろ。
「オレ、買ってこようかな…。」
「いや、祢緒…既に沢山あるこのお菓子の山を見ろ…。もう要らないから…。後勉強しような。」
「ちぇー…。」
座るように俺が促せば祢緒が唇を尖らせながら不貞腐れながらその場に座った。
ただでさえこの量のお菓子をどうするか悩んでるのにこれ以上増やさなくて良いから…。
それとそろそろ勉強しような…。
俺達は勉強する為に集まったんだから…。
* * *
それから俺達は夕方迄詩苑の家で勉強した後、お開きとなった。
そして家でのんびりと勉強の続きをしているとふと今日のフィジーの事を思い出す。
そう言えばロイヤルストレートフィジーとか言ってたけど、実際のロイヤルストレートフラッシュって全部カードバラバラじゃなかったっけ。
スマートフォンを取り出して検索サイトを開く。
そして検索欄にキーワードを入力し、ポーカーについて調べる。
そうすれば丁度俺が探していた答えが書いてるページが見付かり開けば、ロイヤルストレートフラッシュはやはりカードがバラバラで成立するものだった。
「ふふ、祢緒ったら間違ってるよ。…あれ、じゃあ五枚のカードって…?」
ふと疑問に思いページをスワイプして更に調べていく。
すると同じカード五枚はファイブカードと出てきて、俺は思わず吹き出す。
「そのままの意味じゃん…。」
なんだかそれが面白くて、俺は暫く一人で笑い続けた。
後日。
大学で祢緒が例のチョコレートを大量に購入していて、理由を聞けばフィジーをオレが求めている…と言いながらビニールを外していたのは別の話。
...The End
あとがき
この後あとがきを書き換えました(2022.10.10)
元ネタはお友達の実話。
なのでチョコレートもシールも実際に販売されてる物。
初めて現パロ短編書いたし、現パロ用の名前も出したので書いてる時誰が誰かわからなくなったのは秘密(笑)
ネタ提供有り難う御座いました!
2022.05.28
修正・加筆:2020.10.10