ステージの袖、暗がりの中で互いに手を合わせて指先を絡め合う。
「迫力がすごいね、碧」
「それはそうだろ、箱で“彼ら”の演奏なんだから」
目をやった向こう側は音と光の洪水だった。空を裂きピリピリと感触としてすら伝わってきそうなエレキギターの音色、湧き上がる歓声。
事務所が同じであり馴染みのビジュアル系バンドにゲストとして呼ばれることとなった。無論断る理由など無く、こうして舞台の袖で今か今かと出番を待っている最中である。
「大丈夫かな…」
「…紅らしくない…、どうしたんだ?」
「ううん、ちょっとだけ自信なくなっちゃった」
じっと舞台の方を見据える紅の瞳の中に光が乱反射する。“彼ら”は自分達とはまた違うジャンルの音楽性・方向性を持って活動している。
いつもとは全く違う空気感。それが紅の心に漣立てているのだと碧はすぐに悟る。
分からない訳がない、自分達は双子で、碧もほんの小さな緊張と不安は抱えていた。だからすぐに察することが出来た。
「大丈夫だよ、」
「本当に大丈夫かな」
「…うん、」
こちらに視線を向けて眉をハの字にして笑う紅に、碧は小さく頷いて笑い返した。それから絡めた指先にぎゅっと力を込める。
手を少し持ち上げて紅の手ごと自分の額に当てた。
「大丈夫だって、俺達“二人”なんだから。…一緒なら、大丈夫だろ」
胸の内にあるさざめき。それはきっと互いに一緒だ。ならば、大丈夫だと自分に言い聞かせて奮い立たせる気持ちも同じように共有したかった。
ほんの少しの沈黙が降りる。相変わらずの激しい旋律も今の二人には届かない。
紅が碧の手を握ったままぐっと手を引いた。驚いて顔を挙げた碧をよそに、紅は碧がしたのと同じように自分の額に手を当てる。
「ありがとう。そうだよね、俺達二人なら絶対やれる!」
「…うん、紅ならやれる」
「うん、碧ならやれるよ」
呪文のように呟きあって、それからくすくすと笑い合う。
その姿はきっと誰も知らない姿。これからステージで蝶のように華やかさを振りまく姿とはまた違う、お互いしか知らない“秘密の姿”。
「さて、そろそろ呼んでもいいかな?」
ステージからMCをする聞き慣れた声。その声の主が鮮やかな群青色の髪を揺らしてこちらに軽くウインクをする。さぁ、出番だ。
『よし!』
二人一緒に力強く頷いて、光の洪水へ向かって身を躍らせた。
「迫力がすごいね、碧」
「それはそうだろ、箱で“彼ら”の演奏なんだから」
目をやった向こう側は音と光の洪水だった。空を裂きピリピリと感触としてすら伝わってきそうなエレキギターの音色、湧き上がる歓声。
事務所が同じであり馴染みのビジュアル系バンドにゲストとして呼ばれることとなった。無論断る理由など無く、こうして舞台の袖で今か今かと出番を待っている最中である。
「大丈夫かな…」
「…紅らしくない…、どうしたんだ?」
「ううん、ちょっとだけ自信なくなっちゃった」
じっと舞台の方を見据える紅の瞳の中に光が乱反射する。“彼ら”は自分達とはまた違うジャンルの音楽性・方向性を持って活動している。
いつもとは全く違う空気感。それが紅の心に漣立てているのだと碧はすぐに悟る。
分からない訳がない、自分達は双子で、碧もほんの小さな緊張と不安は抱えていた。だからすぐに察することが出来た。
「大丈夫だよ、」
「本当に大丈夫かな」
「…うん、」
こちらに視線を向けて眉をハの字にして笑う紅に、碧は小さく頷いて笑い返した。それから絡めた指先にぎゅっと力を込める。
手を少し持ち上げて紅の手ごと自分の額に当てた。
「大丈夫だって、俺達“二人”なんだから。…一緒なら、大丈夫だろ」
胸の内にあるさざめき。それはきっと互いに一緒だ。ならば、大丈夫だと自分に言い聞かせて奮い立たせる気持ちも同じように共有したかった。
ほんの少しの沈黙が降りる。相変わらずの激しい旋律も今の二人には届かない。
紅が碧の手を握ったままぐっと手を引いた。驚いて顔を挙げた碧をよそに、紅は碧がしたのと同じように自分の額に手を当てる。
「ありがとう。そうだよね、俺達二人なら絶対やれる!」
「…うん、紅ならやれる」
「うん、碧ならやれるよ」
呪文のように呟きあって、それからくすくすと笑い合う。
その姿はきっと誰も知らない姿。これからステージで蝶のように華やかさを振りまく姿とはまた違う、お互いしか知らない“秘密の姿”。
「さて、そろそろ呼んでもいいかな?」
ステージからMCをする聞き慣れた声。その声の主が鮮やかな群青色の髪を揺らしてこちらに軽くウインクをする。さぁ、出番だ。
『よし!』
二人一緒に力強く頷いて、光の洪水へ向かって身を躍らせた。
あとがき
掲載が遅くなってしまい申し訳御座いません|||OTL
夜従 様のReverieのライヴに我が家の神崎双子がお邪魔させて頂きました。
以前からTwitterでもこういう事があれば良いですね~とは言ってたんですが、まさか形にして頂けるとは思わず…!
本当嬉しかったです。
夜従 様、今回は本当に有り難う御座いました!
2014.01.17/春日 輝