「シゲル、お客様には?」
持参のお菓子を勝手にリビングでパクつく{{name_girl}}に、シゲルが嘆息した。



お伽話のように簡単じゃなくっても



「ある場所は知ってるだろ。茶くらい自分で煎れろ。」
「お客様なのに~・・・・」
しぶしぶ立ち上がって、{{name_girl}}がお茶を煎れに行く。
「ついでに僕の分もな」
{{name_girl}}が茶の葉の量を少し増やした。




「はい、お茶」
「ああ」
シゲルが研究中の資料に目を落としたままそう答えた。
その資料は図形や文字でびっしり埋め尽くされている上に、
専門用語が数多く散りばめられていて、
{{name_girl}}にはなんとも退屈な紙切れでしかない。
「シゲル、それ見ながら飲んでると零しちゃうよ?」
「ああ」


「・・・・・・・・・・」


「シゲル、槍が降って来たよ」
「ああ」


「シゲル結婚しようか」
「ああ」



「・・・・・ばか」
全く気が付かないシゲルに腹を立てた。
ブラッ?
立ち上がった{{name_girl}}をブラッキーが不思議そうに見上げた。

「もう、知らないんだから」
それだけ言うと、{{name_girl}}は部屋を飛び出した。



◆    ◇    ◆



「そりゃ、シゲルが研究に夢中になったらご飯食べさせるのだって一苦労だよ?」
ぶつぶつと一人零す。
ブラッキーが少し距離を置き後ろから付き従う。

いい天気だ。
手前の緑の山が視界を遮り、目の前には林が、左手には大きな湖があり―――――――




「バッカみたい。」
そう、そんな事で悩んでいるのなんて、まったくバッカみたいだ。
オーキド博士はとても広大な敷地を有していて、そこで預かったでポケモンの世話をしている。
というよりも、元居た環境に近い大自然でのびのびと過ごさせている。

おかげで此処には岩肌むき出し山もあれば、
水辺のポケモンように湖があり、大地を掛けるポケモンの為に大草原もある。

今、{{name_girl}}が進んでいるのは森の中。
草ポケモンと虫ポケモンの温床だ。


「マサラタウンは田舎で空気が綺麗だけど、森の中はまた格別ねー」
うーんと伸びをする。
ポケモン達も慣れたもので、自然と回りに集まった。
ダネダネ!

「あー、サトシのフシギダネ!元気だった?」
しゃがんで頭を撫でてやると、他のポケモン達も集まり始めて、{{name_girl}}はその場に尻餅をついた。

「はいはい、みんなも元気だったみたいね~」
それぞれに挨拶をする。
ダーネ!
フシギダネが遠くから声を掛け、そのまま向こうに走り去る。
他のポケモン達も同様に。
「着いて来いって事かな?」


立ち上がり、追いかけた。


少し坂になってる向こうは見渡すが切りの草原で、そこにはワタッコ達が群生していた。
風が吹き、一斉に舞い上がる。
「わぁ・・・・」
一番軽いワタッコが高くあがり、その次にハネッコ、ポポッコの順で舞い上がる。
空が、グラデーションになった。

風が吹くたびに変わる空の色、ワタッコの綿毛が陽{{name_girl}}をきらきらと反射した。


「すっごーい・・・・フシギダネ達はこれを見せるためにわざわざ?」

ポケモン達が歓声を上げた。
彼らなりの客人のもてなし方なのだろう。
「ありがとう」
いつの間にか水際のポケモンが現われて、仲間に加わる。
いつも元気なワニノコが“水鉄砲”を空に放つと、キラキラと虹が輝いた。


どんどんどんどん仲間が増えて―――――――
それはもう、夜型のヨルノズクが賑やかさで目が覚める程。



◆    ◇    ◆



「やれやれ、帰って来ないと思ったら」
シゲルがため息をついた。
森のポケモン達に囲まれて眠る姿は、まるで童話の白雪姫を思わせる。
当然のように膝を付き、その上にかがみこむ。
「・・・・ま、起きないだろうねぇ」
物語のようには行かないかと苦笑し、
回りに居たポケモン達に「内緒だよ」と人差し指を口に当てた。
{{name_girl}}の肩を軽く揺する。

「{{name_girl}}、ほら、起きろ。」
「ん・・・・?」
「起きたか?」
覗きこまれて、覚醒する。
「シ、シゲル?!なんで此処に?!」
「ブラッキーが教えてくれたんだ。
さ、風邪引く前に帰るぞ」
差し出された手を見て、怒っていた事を思い出したが、
それもまたバッカみたいに思えて―――――――。
{{name_girl}}はその手を握り返した。

「は~い」
「なんだ、今日はやけに素直だな」
怪訝な顔をしてくるシゲルは、失礼だから無視して、{{name_girl}}はポケモン達に別れを告げた。
「みんなありがとう、また遊ぼうね!」


それぞれが、それぞれのことばで、同じさよならを言う。

「また、ね。」

誰にとも無くそう言って、{{name_girl}}はシゲルに微笑んだ。
夕食の匂いが風にのって流れて来た。
今日も変わらない一日の終焉。
シゲルが不思議そうに見返して、肩をすくめて手を握り返した。
Fin

コメント


この後コメントを書き換えました(2011.08.15)

鳳刻 かがり 様からシゲル夢を頂きました!

確か当時かがり 様の企画で参加させて頂いた記憶が…。

内容が確かシゲル夢で甘いの、だった気がします(曖昧/汗)


鳳刻 かがり 様、今回は本当に有り難う御座いました!


2005.07.14

↑
Top