ボーカロイドが人に恋をしてはいけない、とメイコが言った。
"どうして"、と聞き返した答えは単純。
それは…"私達が"機械"だから"、と言う理由。
Flower Language
No.26 人知れぬ恋
胸が、苦しい。
自分の主(マスター)を見る度に訪れる感覚。
何時からマスターをこんな目で見る様になったんだろう。
本当はそんな目でいけない。
それでも、マスターを見る度に訪れる感覚はどれも思ってはいけない事ばかり。
そして今日も彼にはマスターに対する感覚が押し寄せた。
* * *
「カイト。ここ…もう少し低くして、こっちは少し高く歌って見て。」
「はい、マスター。」
ここはマスター…基(もとい){{name_boy}}の部屋。
その{{name_boy}}の部屋で現在新曲作成中。
自分の思い通りにいかないのか思考を巡らしカイトに指示を出す。
カイトもその指示に頷けばそのまま指示通りに用意された歌詞を歌い上げる。
そして問題の歌詞を歌い終えれば暫く{{name_boy}}は判断に悩んだが"OK"、と言ってヘッドホンを外した。
「少し休憩しよっか。」
「はい、そうですね。」
カイトの返答に{{name_boy}}は手に持って居たシャーペンを手放せば、椅子の背凭れに沿う様に伸びをすれば一度座り直す。
その後はポツリ、と{{name_boy}}が口を開く。
「カイトってさ。」
「はい。」
「最近、変わったよな。特に歌い方とか。」
「…俺、マスターの指示通りに歌えてませんでしたか?」
今迄と今の歌い方を思い出しながら言う{{name_boy}}に対し、カイトは眉を下げて不安気に尋ねる。
その様子に気付いた{{name_boy}}は"そう言う意味じゃ無いよ"、と言ってカイトの手に手を伸ばし触れた。
「カイトは俺の思った様に歌ってくれてるよ。ただ…。」
「ただ…?」
「ただ、カイトは何処か恋した様な歌声だったから。」
{{name_boy}}の語尾を復唱してカイトは首を傾げれば、その先の言葉が{{name_boy}}の口から飛び出す。
カイトはその先の言葉に内心酷く動揺する。
図星だ。
感付かれてはいけない所を感付かれてしまった。
だがそれでも表情は平然を装う。
主(マスター)には絶対にバレてはいけない事だから。
「…そんな訳ないじゃないですか、マスター。俺は…機械ですよ?機械が恋何てしてはいけないんです。」
俺はボーカロイド。
マスターの為に在り、マスターの命令は絶対。
でも俺にはマスターに秘密にして居る事が有ります。
それはマスターに恋をして居る事…。
...The End
あとがき
主催企画、Flower Languageへ。
これもまた随分遅くなってしまいました、済みません。
一応カイト→マスターのつもりで書きましたが上手く伝わってるのか不安です…。
2009.09.10/春日 輝
追記
Flower Languageが閉館したのでサイトUPさせて頂きました。
古い、古過ぎて見てられん…oh...|||OTL
2012.11.12