気が付けば何時もボクはあの人を見詰めて居た。
あの人を見詰めるつもり何てこれっぽっちも思ってない。
ましてや見詰めてしまうだなんて不覚な位だ。
恋愛10題
No.2 無意識に、見詰める
{{name_boy}}とNの出会いは不思議なものだった。
偶然街でプラズマ団に襲われて居たトレーナーを助けただけ。
そして、その場に偶然Nが居合わせたのだ。
{{name_boy}}が助けたのだから、立場はやはりお互い敵同士。
勿論その出会いが{{name_boy}}とNにとっては初対面。
だがその初対面の日以来{{name_boy}}はNと毎日出会(でくわ)す様になった。
N曰わく"気になるトレーナーが増えた"、と楽しげに言って居た事を{{name_boy}}は今でも覚えて居る。
そして今日と言う今日も例外ない。
{{name_boy}}の目の前に、今Nが立って居るのだ。
「…今日もボクは出会うんですね。」
「ふふ、だって僕は君と君のトモダチの絆が気になるんだ。」
「…"トモダチ"、ですか。」
小さくNは笑い、楽しげにそう言う。
Nはポケモンの事を"トモダチ"と呼ぶ。
初めて言われた時は{{name_boy}}も驚いたが直ぐにその意味は理解出来た。
トレーナーとポケモンの絆。
Nは{{name_boy}}とポケモンが繋がる目に見えないそれに興味深々だ。
その探求心を出して居る時のNは初めてを知る時に見せる子供の様で…。
汚れを知らない、純粋しか含まない目。
自分より大人びた外見と比べて幼い印象の内面を持つNは相変わらずその瞳で{{name_boy}}を見詰める。
「…ボクじゃなくて、その…他の気になるトレーナーの元へ行けば良いじゃないですか。」
「駄目だよ。あのトレーナーは僕と同じ様に英雄にならなければならない。」
「英雄…?…まさか…、持ってる、の…?」
一度{{name_boy}}は首を傾げるも直ぐにその言葉の意味を理解したのか恐る恐るそれをNに尋ねた。
そうすれば返事の言葉の代わりにNは無邪気に笑う。
無邪気に笑うその姿は本当に見入ってしまいそうだ。
「…。」
「でも、僕はあのトレーナーも良いけれど君にも実は期待して居るんだよ?」
そう言ってNは再度{{name_boy}}に笑って見せる。
今回の笑みも純粋そのものでNからは悪は感じ取れない。
Nの感情や思考は感じ取り易く、彼が笑う度に彼の感情が{{name_boy}}に流れ込む。
「…どうして、そう思うの?」
「君が気になるトレーナーだから。気にしたら、期待したくなるでしょう?」
Nは同意を求める様に首を傾げる。
だがそれに{{name_boy}}は上手く答えれられないのか曖昧に笑うだけだ。
「…僕は期待して居るよ。君はあのトレーナーの様に、いや…それ以上になるかも知れない。」
「どうしてそんなに期待、僕にするの…?」
「どうしてだろう。君と君達トモダチをそう見た日から思っていたんだ。だから君とトモダチを引き離すのは辛いけれど。」
「…離させないよ。絶対。」
「…そう。」
真っ直ぐにNを睨む様にして{{name_boy}}は見詰めればNは笑う。
今迄沢山、数え切れない位に{{name_boy}}はNの笑みを見て来たつもりだ。
だが今見せた笑みは何処か寂しげで、尚且つ安心した様な笑みだった。
その笑みに限って{{name_boy}}は惹かれ、思わず見詰めてしまう。
「…どうしたの、僕の顔に何か付いてる?」
「な、何もないよ…。」
Nに問われ{{name_boy}}は言葉を詰まらせながら視線を逸らす。
そしてその直後に{{name_boy}}の頭にNの手が置かれ頭を撫でられる。
「…じゃあ、ポケモンリーグで僕は君を待ってる。」
「え…何…っ!」
言葉の続きを打ち消すかの様に強い風が吹く。
だがその風の正体はNが"手に入れた"伝説のポケモンが起こした風で―――…。
風が吹き、{{name_boy}}が僅か目を瞑った時には既にNはそのポケモンの背に居り、今から飛び立とうとしている状態だ。
「N…!」
「…ごめんね、必ず来てよね。」
名前を呼ばれNは{{name_boy}}の方を見る。
その表情は目を細めて笑って居るだけで、直ぐに視線を外せばポケモンと共に飛び去ってしまう。
「…何、意味分からない。…N、ボクは一体どうすれば良いの?」
最後に思わず惹かれてしまったあの笑みを思い出しながら{{name_boy}}は誰も居ないその場所でポツリと呟く。
その笑みの意味を知るのは、もう少し先のお話。
無意識に、見詰める
(見詰めてしまったのは、その笑み)
...The End
あとがき
主催企画、Black Whiteへ。
毎度主催者遅刻常習犯です…(…)
作中の気になるトレーナーと、伝説ポケモンは御想像にお任せします(笑)
2010.11.01/春日 輝
追記
やってしまった感がぬぐえない作品ですね(…)