「…あー………、くそっ。」

額に手を当てて{{name_boy}}は小さく呟き言葉を吐き捨てた。



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No.5 "い"らない感情は捨てて…。



今から約2・3日前の話。
{{name_boy}}は見知らぬ男に助けられた。
そして助けられた約1時間後、{{name_boy}}はその男の名前と情報を友人の銀から耳にする。
名前は"アキラ"、イグラはつい最近始めたばかりの新人。
そのアキラに、{{name_boy}}は助けられたのだ。

* * *

「っ…あーあ………。」

その時は調度イグラ戦を行ったばかりだった。
もう既にその場には戦った相手は居ない。
どうやら立会人になった奴と仲間だったらしく既に姿を消して居り、その場は酷く静かだ。
イグラのルールは相手の背中を地面に付けたら勝ち。
当然そのルールに従い{{name_boy}}も勝った訳だが、そのイグラの最中に相手の攻撃で腕を負傷したらしい。
傷は中々深いらしくか、血が止まらずだらだらと流れる。
傷口も熱を持って居るらしくか、熱かった。
しかしその近くから足音が{{name_boy}}の耳に届く。
足音は一つだったが、{{name_boy}}は先程のイグラで体力が限界に近い。
だが場合によっては戦う必要も有る訳で、{{name_boy}}は体力ぎりぎりの中、小さく構える。
最も、それはイグラ参加者に限るが。

「………。」

息を潜め、{{name_boy}}は頬に冷や汗を流す。
そして冷や汗が{{name_boy}}の頬から滑り落ちた瞬間、足音の主は姿を現した。

「…!」

姿を現した奴は男で、その胸にはイグラの参加の証、タグがぶら下がって居る。
{{name_boy}}の気は走り、思わず顔が男を睨み付け、威嚇をするが怪我のせいで上手く出来ない。
表情には睨みと同時に苦痛の表情が浮かぶ。

「…っ…。」

「……………アンタ、怪我してるのか。」

男の表情は{{name_boy}}が睨んだ瞬間に変わったが、{{name_boy}}の様子を見てからそう口を開く。
その言葉に{{name_boy}}はピクリ、と反応するが腕の痛みは悪化しているらしくか、神経を通してびりびりと伝わった。

「だったら、何?」

強く、言葉を吐いたつもりだったが、言葉は弱々しく口から滑り落ちる。
どうもこの痛みが欝陶しい。
痛みさえ無ければこんな所直ぐに立ち去るのに、何て{{name_boy}}は思う。
そんな事を考えて居ると男は黙って{{name_boy}}に近付いて来た。
イグラは他人と接触するのは危険だ。
理由は何をされるか解らないから。
勿論その警告を{{name_boy}}は頭の中で鳴らして居るがどうも身体が上手く動かない。
どうやら血を流し過ぎたらしくか頭もふらふらとして貧血を引き起こす。

「………ッ…。」

ぎりぎり迄{{name_boy}}は男を睨み付けたが、結局睨み付けるだけ無意味だ、と感じると{{name_boy}}は目を伏せて死ぬ覚悟をする。
だがそれは{{name_boy}}の思い込みだったらしくか、{{name_boy}}の頭上から男の声が耳に届く。

「大丈夫、何もしない。」

「……………え?」

その言葉に{{name_boy}}は驚くと顔を勢い良く上げた。
それと同時に男と目線が合う。
改めて見た男の顔は綺麗に整って居て、思わず{{name_boy}}は見入る。
だがその男の表情は何処か不思議な雰囲気を出して居り、言葉には表せなかった。

「………。」

「何だ?」

男の顔を見入って居た{{name_boy}}は余程らったらしくか、頭上から男の声が耳に届く。
その声に我に返った{{name_boy}}は"いや、何も…"、と小さく漏らして顔を反らす。
だがその瞬間、{{name_boy}}の身体がふわりと浮いた。
始めは{{name_boy}}も何が有ったか分からなかったが、改めて見るとどうやら{{name_boy}}は抱き抱えられているらしい。
しかしそれを理解すると顔を赤くする。

「なっ…!?ちょ、っ…!?」

「余り動かない方が良い。傷口、開くから。」

「そう言う問題じゃなくて…っ!」

{{name_boy}}に取って問題なのはこの状態だ。
何故見知らぬ男に抱えられなきゃならないのだ、それも所謂お姫様抱っこ。
女で有れば多少喜べたのかも知れないが、男の{{name_boy}}は全く喜べない。

「ちょ、下ろせよ…!」

「………。」

「…(だんまりかよ…)」

貧血や体力の限界も有り、身体で抗(あらが)う事は出来なかったが、{{name_boy}}は言葉で抵抗する。
だがそれは虚しく避わされ、{{name_boy}}は肩を竦めて諦めた。

* * *

「ほら、腕。怪我してるんだろ。」

男は{{name_boy}}を下ろすと腕の怪我を出す様に促す。
どうやら男はこの為に此処に連れて来たらしい。
ここは廃ビル。
男が{{name_boy}}を抱えて連れて来た場所。
本来ならばあそこでも手当は出来ない事は無いが、あそこに居ればイグラの参加者に狙われる可能性が有った。
きっとそれは男なりの配慮なのだろう。
{{name_boy}}は暫く黙って居たが、素直に袖を捲くり傷を見せる。
男が思った以上に傷は深かったらしくか、男は目を見開く。

「………!?」

「…そんなに驚く事じゃないだろ。」

「馬鹿、どうして此処まで…!」

男の顔は青ざめて居た。
だがその表情を戻すと、てきぱきと{{name_boy}}の腕を手当する。

「手際、良いな。」

「前にされた事が有ったからその時覚えた。」

「ふーん…。」

「ほら、終わったぞ。」

終わった、と告げる言葉と同時に男は{{name_boy}}の腕から手を離す。
丁寧に手当された腕を{{name_boy}}は見ると"おぉ!"と声を上げた。

「有り難う、助かった。」

「あぁ、でも暫く安静にしろよ。」

「何で、別に平気だけど。」

「足がフラ付いてただろ、無理だ。」

"平気だって"、と言おうとした時、{{name_boy}}>の視界が再度揺れ動く。
そしてそれと同時に男の胸に身体を預ける形になる。

「だから言っただろ。」

「うー…。」

「…少し寝たらどうだ。」

「寝たら何されるか解らないだろ。」

男の胸に寄り掛かりながら問われた問いに{{name_boy}}はそう答えるが、この状況だと説得力が無く、ほぼ無意味を差す。
それでも心はしっかりと疑って居る訳だが、それでもすっかり身体の症状には敵わないのかずるずると横へ傾く。
だがその途端、男により体勢を変えられ、{{name_boy}}の頭が男の膝に来る様に寝かせられた。
俗に言う膝枕だ。

「な………っ!?」

突然の体勢に{{name_boy}}は驚くが身体が上手く動かず、結果寝た状況のままになる。
だがその直後には眠気も{{name_boy}}を蝕(むしば)み始めたらしくか、瞼に重みを感じた。

「ん…っ、未だ寝る訳には…っ。」

「…。」

目を擦り眠気に耐えるが結局堪えれずに重い瞼は閉じ始め、{{name_boy}}を眠りに誘う。
そうして眠りに落ちた後、{{name_boy}}は頭を撫でられた気がした。

* * *

あれから暫くして目が覚め、意識が浮上する。
寝た事で気分もすっきりしたらしくか重かった頭も軽い。

「…起きたのか。」

「ん、今起きた。」

頭上から男の声が{{name_boy}}の耳に届く。
その声に反応すると自分が膝枕をされて居た事に気付き、のそのそと起き上がった。
頭が寝惚けて居るのか上手く働かない。
それでも{{name_boy}}は起きると男に二度目となる礼を言う。

「有り難う。それじゃ、行くから。」

立ち上がり、男を{{name_boy}}は見詰めると小さく笑む。
だがそこに男の制止が入る。

「未だ本調子じゃないだろ…!」

「平気平気、有り難う。それにこれ以上居たら色々とお互い部が悪くなるだろ?だから、な。」

振り向いてから再度{{name_boy}}は笑むとそのままその場を立ち去った。

* * *

そして、あれから2・3日経った現在に至るのだ。
本当はあの優しさが酷く心地良く、もう少しあの男と一緒に居たいと思う程。
あの男…、アキラの優しさは心を許してしまう位に良かった。
又触れたいとも思える位に。
でも、そんな事は思ってはいけない。
そう、思ってはいけないのだ。
イグラに取って情は要らない感情。
そんな情に流されては取り返しの付かない事になる。
だがそんな情は容赦なく{{name_boy}}に襲う。

「…くそっ。」

{{name_boy}}は片腕で目を覆うと、開いたもう片方の腕で自分の太腿を叩く。
まるで、襲い掛かる情を振り払う様に。

...The End

あとがき


お題の中では一番長いお話です。

そして初咎夢!


ですがお相手のアキラの名前が殆ど出なくて申し訳ないです|||OTL

一応絡みは有りますけども…!(汗)


取り敢えず、相変わらず良く解らない作品です(爆)

本当は恋愛的要素を漂わせたかったのですが、実力の無い私には無理でした(げふん)


作品を仕上げる途中幾度か思ったんですが、何と無くNo.02としても大丈夫だったのではないかと思いました(笑)


さて、お題も後一つ…、頑張ります!


拍手有り難う御座いました。


2009.01.21

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