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No.8 紫

朝。

学生にとって登校時間に当たる今、私は目の前に歩く友人に声を掛けた。

「お早う。」

声を掛けられた彼女はそれで私に気付いたのかこちらを向けば彼女も"オハヨー…"、と返してくれる。
だが彼女の声は何処か何時もよりトーンが低く、様子も少し…いや、少し所か普通に変。
普段の彼女はもっと声のトーンは高いし、何より私を見た瞬間飛び付いて来るのだ。
…それも所問わずにして来るからもう少し…こう色々と自覚して欲しいのだけれども。

「どうしたの、元気ないね?」

彼女の横に並ぶ様に私は歩けば暗い彼女が盛大な溜息を吐く。
…一体何だって言うの。
そうすれば彼女は重そうな口取りで"傘を持つのが憂鬱で"、と言った。
確かに今の彼女の手には傘が在る。
勿論それは私の手にも。
だって今日は天気予報では午後から雨だと言って居た。
ましてや今は6月。
今は傘を手放せない時期。
きっと彼女は雨に、これから来る梅雨が嫌なのだろう。

「雨嫌だー…。」

憂鬱そうに彼女は言えばぐったりとしながらも私に腕を絡ませて来た。
鼻には彼女のシャンプーの匂いが。

「私だって梅雨は嫌だよ。」

宥める様にして私は彼女の頭を撫でれば、私の視界に紫が入る。
視界に入った紫の方を見ればそこには青や紫と咲いた紫陽花が咲いて居た。
この花が咲いて居る事は…彼女の嫌がる梅雨はきっと直ぐそこ。
又その分、私は彼女の低く暗い声を聞く事になるのだろうけど。

...The End

あとがき


梅雨…と言うか雨が嫌な彼女のお話。


2010.12.07

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